幼なじみの吸血鬼くんが本気を出したら。
それから二年、レオンと歌子は会わなかったが町でたまたま会ってしまった。

レオンと千代は二人仲良く歩いていて、歌子はひとり寂しく歩いていた。

その二人を見たとき、妬ましく思った。

「私だけこんな目に遭うなんて。憎い、あの女が憎い。レオン様も憎い」

そして、歌子は思い付いた。

レオンを呪おうと。

あやかしと手を組み、歌子はレオンの家に押し入った。

「あなたは幸せになれない。私があなたの子孫まで呪ってやる」

そう脅されたのにも関わらず、レオンは笑っていたという。

「いいよ。歌子に辛い思いをさせた罰だ。私は十分幸せになったから」

「そう」

歌子は泣いたという。

いくらあやかしと手を組んでいたとしても、一度愛した人はなかなか憎めなかったのだ。
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