幼なじみの吸血鬼くんが本気を出したら。
そのとき、千代がレオンと歌子の前に現れた。

「お止め下さい。レオン様とその子孫には生きてもらわなければなりません。呪うなら私にして頂けませんか?」

そう言って、歌子の手を握ったそうだ。

「……全ておぬしが悪い。レオン様よりもおぬしを呪った方が都合がいい。来世まで苦しむのだな」

歌子は千代に呪いをかけた。

千代はもがき苦しみ、泣いていた。

死ぬ間際、千代はレオンにこう言った。

「………私はあなた様のことを愛していました。どうか我が子をお守り下さいませ。短い間でしたが三人での暮らしはとても楽しゅうございました……」

そこで息絶えたという。

すでにレオンと千代には子どもがいた。

だが、レオンという名では奇妙がられ暮らしにくかった。

名をレオンから入井陽玄(いりいようげん)と改名した。

それからレオンはその子どもを大切に育てたという。
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