幼なじみの吸血鬼くんが本気を出したら。
離れて我に返ると急に恥ずかしくなった。

りりも分かりやすく照れている。

「お前からしてくれるんだろ、キス」

りりはブワッと紅くなった。

「そ、そうだけど……。玲音はいいの?」

いいって何が?

りりはモジモジしながら上目遣いで聞いてきた。

「ふぁ、ファーストキスが私で………」

なんだよそれ!

可愛すぎかよ!!

「………お前じゃなきゃ嫌だ」

りりはさらに紅くなって、固まってしまった。

「玲音………いい?」

「………ああ」

りりは少し背伸びして、唇を重ねた。

俺は幸せでそのまま死ぬかと思った。

「…………どうかな?」

りりが姿勢を直し、そう言ってきた。

どうって聞かれても幸せな気持ちでいっぱいだったし。

なんならドキドキしてよく分からなかったし。

「よかったよ」

「そっか」

りりは安心した顔で微笑んできた。

俺はもう一度りりを抱きしめようと近づいた。

「………うぬっ」

その時、立てなくなるほどの激痛が走った。

「玲音!?」

俺はまぶたに力が入らず、目を閉じた。
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