幼なじみの吸血鬼くんが本気を出したら。
俺は身体から離され、霊みたいに浮いていた。

「りり!俺が見えるか?」

「大丈夫、見えるよ。それより、玲音の本体の様子が変」

俺の身体は勝手に立ち上がり、りりに近づいた。

「お前がレオン様の来世か。目元がよく似ている。我が物にしようぞ!!」

そう言って俺の身体はりりに覆い被さった。

「きゃあっ!!」

いくら俺の身体でもそんなこと許さねぇぞ!!

「りりから離れろ!この変態がっ!!」

俺はなぜか俺の身体を飛ばしていた。

霊の俺って無敵じゃね?

「よくも邪魔したな。千代の来世ぇ!!」

次は俺かよ!

俺は必死で俺から逃げた。

自分に追いかけられるとか地味に怖いわ。

「やめて」

気がつくとりりが俺の前に立っていた。

「玲音は私が守る!!」

りりはポケットから御札を出した。

その御札、五鬼継のか。

俺の額に貼られた御札に似ているけど、いかにも呪いに効きそうな札だった。

それを俺に貼ると、五鬼継のように何かを唱え始めた。
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