幼なじみの吸血鬼くんが本気を出したら。
「おいで」

玲音はいつもの如くそう言ってくる。

私はいつもと違うことをしてみた。

いつもは恥ずかしくていけないけど、今日は思いっきり玲音に抱きついた。

「………何だよ、今日どうかした?」

玲音は分かりやすく戸惑っている。

「私、玲音をドキドキさせたいの!」

「…………ばーか。とっくにドキドキでおかしくなりそうだっての」

玲音は私の手を取り、自分の心臓に当てた。

「分かるだろ。ドキドキしてんの」

玲音の鼓動は早くて確かにドキドキ言っていた。

「りりがそんな服着るから可愛さでやられるっての。それに急に甘くなんなよ」

「玲音だってそうじゃん」

玲音は私の唇を指でなぞった。

「………何して」

「キスしようか悩んでるんだけど、どうしたい?」

どうしたいって。

「とびきり甘いの………お願いします」

「りょーかい」

玲音はくすって笑ったあと、キスしてきた。
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