幼なじみの吸血鬼くんが本気を出したら。
「あのさ、水族館行きたい」

「いいよ」

少しの時間だけ、水族館に行くことにした。

案の定、校内のカップルが数組いた。

やっぱりデートスポットなんだ。

「私、イルカショー見てみたくて」

「りりは見たことないもんな」

昔うちの家族と玲音の家族で水族館に行ったとき、私はイルカショーの前に寝てしまった。

玲音がそばにいてくれたらしいけど全く覚えてない。

「そろそろ時間だってよ」

イルカショーが始まると私の目はキラキラ輝いた。

イルカが可愛くて可愛くて仕方なかった。

最前列にいたため、あり得ない量の水が飛んできた。

制服はびちゃびちゃになってしまった。

ふと隣を見ると、玲音は爆笑していた。

売店で白のトレーナーを買った。

「またお揃いだね」

「そうだな」

大水槽の前で記念写真を取った。

これが一番の思い出となった。
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