幼なじみの吸血鬼くんが本気を出したら。
よかった、もとに戻った。

俺は嬉しくてりりを抱きしめた。

「え、何?」

りりは戸惑っている。

記憶にないのかもな。

「…………お前」

「諦めろ。お前に勝ち目はない」

俺は再び扉に手をかけた。

「じゃあな」

扉を開けると、りりと向こうへ歩き出した。

「ま、待て!!」

「ごめんな、俺にも譲れないことがあるんだ」

山崎は完敗したと目をつむった。
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