幼なじみの吸血鬼くんが本気を出したら。
「玲音!」

りりの声が聞こえる。

「玲音、どうしたの?どうしたのってば!!!」

何か言わなくちゃ。

「血?血が足りてないんでしょ、あげるから」

今の俺じゃ吸いたくても吸えないんだ。

「私の妖力があればいい?いくらでもあげるから死なないで………」

俺、死ぬの?

りりの中では死ぬのようになってんの?

俺は無敵だって言ったじゃん。

りりが何も話さなくなった途端、俺の唇に柔らかいものが触れた。

この感じはりりの唇か?

まさか、俺に妖力をくれてるのか?

「…………もう少しだから」

柔らかくて温かい。

りりの体温が俺の身体中に広がっているような気がした。

りりの温もりが氷のように冷えきった体を溶かしてくれているようだった。
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