幼なじみの吸血鬼くんが本気を出したら。
「りり最高!!」

お腹抱えて、目から涙を流して笑っている。

勝手に笑っててよ。

私は本気だもん。

放課後も少し残って練習していた。

「うわ……何してんの?」

教室に入ってきた大雅くんに見られてしまった。

「べ、別にっ」

恥ずかしい。

穴があったら入りたい。

無くても掘って入りたい。

「もしかして、キスの練習とか?」

ドキーン。

バレてる。

やっぱり恥ずかしい。

「当たった?」

私は顔を真っ赤にして頷いた。

「それも入井のためだよな」

………気まずい。

よくよく考えたら魔界事件があってから初めて会うし。

「うん」

私は教室を出ていこうとした。

でも、大雅くんに止められてしまった。

「………この間は悪かった。強引なことして」

「いいよ。それより、ティアラありがとね。大切にしてるよ」

「そうか」

大雅くんの表情はいつにも増して穏やかだった。
< 253 / 328 >

この作品をシェア

pagetop