幼なじみの吸血鬼くんが本気を出したら。
「また昼にな」

玲音と私のクラスは違う。

私たちの学校、ローズアカデミーにはランクでクラスを分けるシステムがある。

クラスは全部で五つ。

玲音は一番上のクラスのマンドレイク。

私はその下のデビルズクローだ。

マンドレイクには最も成績が高い十人が集まる。

そこには美男美女しかいない。

実に不公平だ。

本音を言えば、マンドレイクの女子たちに睨まれるので玲音の教室に行くのが少し怖い。

「朝から熱々だね」

声をかけてきたのは人魚の友達、水原魁李(みずはらかいり)だ。

魁李とは中学からの友達で一番の親友である。

「違うよ」

「入井くんに愛されてるのに何を言うの?こんなストレートな愛ある?」

愛されてないって。

それにストレートでもないし。

「魁李って想像力豊かだよね」

「そういう君たちは本当、奥手だよね」

何のことやら。

「ところでさ、話したいことがあるんだけど」

「なぁに」

玲音と同居し始めたことを伝えた。

親友だし、知っといて欲しいからね。

「ついに行動に出たか……」

え?

「入井くんも男なんだから気をつけなさいよ」

「気をつけてるよ」

「でもあんた達のことだから、一緒に寝てそうよね」

ギクッ。

「そんな訳ないじゃん!」

そう、とはもちろん言えない。
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