幼なじみの吸血鬼くんが本気を出したら。
保健室の鍵を開けるとりりが泣いていた。

「玲音……」

俺は泣いているりりを抱きしめた。

「もう大丈夫だから」

「…………ごめんね」

俺のせいで苦しい思いさせてごめんな。

「俺が悪いから」

「………だって」

りりが何かを言いかけたその時。

「離れなさい!」

いかにもリーダーぽい女子が入ってきた。

「お前が犯人だな」

「きゃあっ!もう、最高!!玲音様、愛してます」

意味わかんね。

「それはさておき、私をフィアンセにしてください!」

「俺のフィアンセはりりだから断る」

「…………何とでも言ってくれて結構ですわ。惚れさせるだけですもの」

あいにく俺はりり以外の女を好きにならないんで。

「何よ。そっちがその気ならこっちにだって策はありますわ」

ピシャッ。

保健室中のカーテンが閉まる。

「二人を閉じ込めるだけです!」

「お、おい!」

その女子を逃がすまいと手を伸ばした時にはもう遅かった。
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