幼なじみの吸血鬼くんが本気を出したら。
体育祭も終盤になり、いよいよ後夜祭になった。

今年は花火が打ち上がるらしい。

りりと教室で見れたらな、なんて思ってる。

「りり、一緒に花火見よ」

「いいよ!……でもちょっとやることがあるから先行ってて」

やることって何だろう。

気になるけど仕方ない。

先に教室に行くか。

その途中、山崎に会った。

「あ」

思いっきり気まずそうな顔をしてきて、通り過ぎて行った。

「おい、待てよ」

「何だよ。この間のことは悪かったと思ってるよ」

会うのって魔界以来だっけ。

「それが謝る態度か」

「何だ?他に何を言えばいい?」

「別に何も言わなくていいけど。俺はお前がりりにキスしたこと、まだ許してねぇからな」

山崎はギクッとしたようでしばらくの間、固まっていた。

「………俺の気持ちは本気だ。許してもらわなくていいから」

そういう問題じゃねぇんだよな。

俺の気持ち的にりりが他の男に触られるのが嫌なんだよ。
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