幼なじみの吸血鬼くんが本気を出したら。
「お詫びとかないわけ?」

「一緒に花火見るのじゃだめ?」

それでもいいけど。

「………今夜は俺から離れるの禁止な」

「……うん」

りりは頷くと寄りかかってきた。

そろそろ花火が打ち上がる。

「玲音」

「何?」

「名前呼んだだけ」

機嫌がいいのか、今日はやけに可愛い。

「りり」

「ん?」

「俺のこと、王子様って言ってくれてありがとな」

「事実だもん。玲音は私の王子様じゃん?」

俺は王子様みたいな立派な奴じゃない。

独占欲が強くてどうしようもない、ただの吸血鬼だよ。
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