幼なじみの吸血鬼くんが本気を出したら。
桜の木の下。

私たちは向かい合った。

春風が桜の花びらを舞わせていた。

指輪を交換し、あの時を思い出していた。

玲音が指輪を渡してくれた時、言ってくれたこと。

この指輪はピンクダイヤモンドで出来ているんだと。

そんな高いものを私のために買って、贈ってくれた。

後で親から聞いた話だと、玲音は自分の全財産を注ぎ込んだのだとか。

そこまでしてくれたんだ。

その気持ちに応えるしかない。

そして、これから倍にして返さなくちゃいけない。

「あなたは妻を永遠に守り続けることを誓いますか?」

「誓います」

「あなたは夫を永遠に支え続けることを誓いますか?」

「誓います」

「それでは誓いのキスを」

玲音はベールに手をかけ、めくった。

玲音の顔を見ると涙が出てきた。

そっか、結婚するんだ。

「何泣いてんだよ」

「嬉しくて……」

「ばーか。笑えよ」

「うん」

本当に玲音と結婚するんだなぁ。

「これからお前を幸せにする」

「私も玲音を幸せにするね!」

いつもより甘い甘い、ミルクのようなキスをした。
< 327 / 328 >

この作品をシェア

pagetop