幼なじみの吸血鬼くんが本気を出したら。
こんなこと言われるなんて思ってもみなかった。

「入井様の呪いのお話は旦那様から聞きました。つまり、入井様は怖いんですね。それでも香月様といらっしゃるのは何のためですか?」

それは………。

「俺のためだよ。俺があいつと居たいから」

「それですよ。なぜそれを伝えないのですか?」

「だから苦しめるだけって………」

「伝えなかったら後悔するのは貴方ですよ?本当にそれで終わっていいんですか?」

分かってるよ。

でも、俺には気持ちを伝える資格はないんだ。

「お前に俺の何が分かるんだよ。聞いてもらって悪いがもう放っといてくれ」

立ち尽くす冴月を置いて、俺は教室に向かった。
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