幼なじみの吸血鬼くんが本気を出したら。
「………私も気持ち、言わなきゃな」

麗華は何か呟いたが、声が小さくて聞こえなかった。

「ん?」

「なんでもないわ。それより忠告ね、もたもたしてると大事なものはすぐに奪われるわよ」

大事なもの、か。

「ありがとな」

「じゃ、健闘を祈るわ」

そう言いながら麗華は帰っていった。

あいつの根はいいやつだよな。

いよいよ明日だし、今日は早めに帰るか。

寄り道をしたい気持ちを押さえ、俺は洋館へ帰った。
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