キス時々恋心
Prologue.
『ずっとあなたが好きでした』
森崎 初音が人生で初めて告白をされたのは高校の卒業式の日だった。
相手は中学一年生。
同じ町内に住む宮川 雪次郎。
近所に住んでいたからと言って“幼なじみ”と呼べるほど親しい間柄ではない。
年齢もそれなりに離れていたし、町内の祭りなどの行事ごとがあれば会話する程度だった。
彼が自分にそんな感情を抱いていたなんて露ほども思っていなくて、初音はとにかく驚いた。
年下だという事実を除けば、彼の事は嫌いではなかったから付き合ってみるのもありだと思った。付き合って好きになる事もあるかもしれない。
『ごめんなさい』
恋愛に対して溢れんばかりの好奇心を抱きながらも、初音が出した答えはノーだった。
中学一年生の少年を目の前に深々と頭を下げて丁重にお断りしたのだ。
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