キス時々恋心
鵜呑みにしてしまえば後戻りができない気がする。
「初音さんが好きだから」
人の気持ちもお構いなし。
雪次郎はグイグイと確信をついてくる。
ふざけた素振りなんて微塵もない真面目な表情。
こんな道端でムードの欠片もない。
初音はスッと彼から視線をそらす。
「そんなの昔の事でしょ。“今もあの頃と同じ気持ちです”って言いたいの。そんなのあり得ない」
初音にとって最後の抵抗だった。
これ以上、何か言われたら抗う自信がない。
だから、目を合わせないまま「手を離して……」とお願いする。
再会したばかりのように強く言えないのは、彼に対しての嫌悪感も疑いも無いからだ。
雪次郎はむしろ捕まえた手に少しの握力を加えてくる。
“離したくない”と言われているよう。
「初音さんの言う通りだよ。俺だって信じられない。ガキの頃の青くさい恋心がいまだに燻ってるなんてさ。
でも、再会して一緒の時間を過ごして分かったよ。俺の気持ちはあの頃と何にも変わってなんかいない。今でも俺の事好きになってくんないかなって思ってる」
「初音さんが好きだから」
人の気持ちもお構いなし。
雪次郎はグイグイと確信をついてくる。
ふざけた素振りなんて微塵もない真面目な表情。
こんな道端でムードの欠片もない。
初音はスッと彼から視線をそらす。
「そんなの昔の事でしょ。“今もあの頃と同じ気持ちです”って言いたいの。そんなのあり得ない」
初音にとって最後の抵抗だった。
これ以上、何か言われたら抗う自信がない。
だから、目を合わせないまま「手を離して……」とお願いする。
再会したばかりのように強く言えないのは、彼に対しての嫌悪感も疑いも無いからだ。
雪次郎はむしろ捕まえた手に少しの握力を加えてくる。
“離したくない”と言われているよう。
「初音さんの言う通りだよ。俺だって信じられない。ガキの頃の青くさい恋心がいまだに燻ってるなんてさ。
でも、再会して一緒の時間を過ごして分かったよ。俺の気持ちはあの頃と何にも変わってなんかいない。今でも俺の事好きになってくんないかなって思ってる」