雨がふったからそれで
ぼーっと、スーツ姿の彼に見惚れていたら
「なにしてるんだ、早く座りなさい」
困ったように話す彼の声で
現実に戻っきたあたしは
慌てて廊下側の1番前の席に座る。
座席表なんて確認しなくても
相河スズ。
この最強な名字のおかげで小学校からずっと
出席番号は1番だ。
そして私の後ろの席は決まってイツキ。
青山イツキ。
絶対に変わらないこの並び
変わらない日常に
少し笑いそうになる。
座った途端イツキが後ろから
「スズまた1番じゃんっ」
と子犬のような笑顔で話しかけてきて
いつもの事だと軽くあしらいながら
「あ、あのスーツ誰?」
とイツキに質問した。