雨がふったからそれで

ぼーっと、スーツ姿の彼に見惚れていたら

「なにしてるんだ、早く座りなさい」

困ったように話す彼の声で
現実に戻っきたあたしは
慌てて廊下側の1番前の席に座る。


座席表なんて確認しなくても

相河スズ。

この最強な名字のおかげで小学校からずっと
出席番号は1番だ。 


そして私の後ろの席は決まってイツキ。

青山イツキ。

絶対に変わらないこの並び
変わらない日常に

少し笑いそうになる。


座った途端イツキが後ろから

「スズまた1番じゃんっ」

と子犬のような笑顔で話しかけてきて
いつもの事だと軽くあしらいながら

「あ、あのスーツ誰?」

とイツキに質問した。
< 8 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop