わたあめ
〜最初の最初〜
奥川さんは不思議な人だ。
「水野くんだよね?ごめんね、遅くなって。」
「…大丈夫です。」
こんな何百人もいる学校の中で誰でも知ってるような有名人が俺みたいなモブの名前を知っていてくれている。
僕の名前は水野健。いつも本を読んでいるという理由だけで図書委員に指名された、発言力のない、まあいわゆるモブだ。しかしそんな僕の横には本来話すことすらできないような人がいる。最高学年首席、奥川彩乃だ。首席という肩書だけならまだしも、この人はモデル並みに外見も良し、そしてそのふわふわした性格からわたあめと呼ばれている人気者だ。
「で、今日の仕事は本の整理でーす。じゃ、がんばろーか。」
さて、ここからが大変だ。本の整理がじゃない。
「はあぁぁぁ…今日もわたあめ様は癒しだな。」
「そうだなぁ。あーあ、俺も図書委員会入っとけばよかったな〜。そしたらわたあめ様のマイナスイオン効果を直に受けれたのに」
「まあ、わたあめ様に近づく野郎は学校全員から敵視されるだろうしな。それは普通に無理。」
「まじそれな」
これが、だ。遠回しに僕のこと牽制してないか?たとえ僕が奥川先輩からマイナスイオン効果とかいうものを受けていたとしてもこの会話を聞くだけで余裕でメンタルはマイナスとなる。というかなっている。
「水野くん、本の番号はもう覚えた?」
「えっと…はい。番号が一年の時と変わって見えやすくなりましたし。」
「あ、気づいた〜?私と先生が頑張って貼ったんだよ!改善された?」
前言撤回。やっぱりプラスになる。
「もうすぐ五時だよね。ちょっと閉館の放送してくるね〜。」
パタパタとスリッパの音を鳴らしながら、先輩は図書室から出て行った。そして僕は荷物をまとめて鍵を閉めて出て行くはずだった…が、誰かが僕の肩を叩いた。
「水野、ちょっといいか?」
その主はオカモン…ではなく図書委員会の担当教師である岡元先生だった。
「お前、高校どうするんだ?」
「え?僕には早過ぎますよ」
「俺は、お前には華路高校に行ってもらいたいと思っている」
奥川さんは不思議な人だ。
「水野くんだよね?ごめんね、遅くなって。」
「…大丈夫です。」
こんな何百人もいる学校の中で誰でも知ってるような有名人が俺みたいなモブの名前を知っていてくれている。
僕の名前は水野健。いつも本を読んでいるという理由だけで図書委員に指名された、発言力のない、まあいわゆるモブだ。しかしそんな僕の横には本来話すことすらできないような人がいる。最高学年首席、奥川彩乃だ。首席という肩書だけならまだしも、この人はモデル並みに外見も良し、そしてそのふわふわした性格からわたあめと呼ばれている人気者だ。
「で、今日の仕事は本の整理でーす。じゃ、がんばろーか。」
さて、ここからが大変だ。本の整理がじゃない。
「はあぁぁぁ…今日もわたあめ様は癒しだな。」
「そうだなぁ。あーあ、俺も図書委員会入っとけばよかったな〜。そしたらわたあめ様のマイナスイオン効果を直に受けれたのに」
「まあ、わたあめ様に近づく野郎は学校全員から敵視されるだろうしな。それは普通に無理。」
「まじそれな」
これが、だ。遠回しに僕のこと牽制してないか?たとえ僕が奥川先輩からマイナスイオン効果とかいうものを受けていたとしてもこの会話を聞くだけで余裕でメンタルはマイナスとなる。というかなっている。
「水野くん、本の番号はもう覚えた?」
「えっと…はい。番号が一年の時と変わって見えやすくなりましたし。」
「あ、気づいた〜?私と先生が頑張って貼ったんだよ!改善された?」
前言撤回。やっぱりプラスになる。
「もうすぐ五時だよね。ちょっと閉館の放送してくるね〜。」
パタパタとスリッパの音を鳴らしながら、先輩は図書室から出て行った。そして僕は荷物をまとめて鍵を閉めて出て行くはずだった…が、誰かが僕の肩を叩いた。
「水野、ちょっといいか?」
その主はオカモン…ではなく図書委員会の担当教師である岡元先生だった。
「お前、高校どうするんだ?」
「え?僕には早過ぎますよ」
「俺は、お前には華路高校に行ってもらいたいと思っている」