夫婦蜜夜〜エリート外科医の溺愛は揺るがない〜
今のはどういう意味?
進を安心させるため?
それとも、べつの意味があるの?
考えてみてもよくわからない。じとっとした目で新さんに見つめられて、なにも考えられなくなった。
「無防備だよな、桃子は」
「え?」
「俺が目を光らせていないと、いつ誰に持っていかれるかわからない」
なにを、言っているの?
「私が逃げるとでも?」
「ああ」
なぜ?
「だけど逃さない。桃子は俺のだ」
熱を帯びた色っぽい瞳と、胸が疼くような甘さを含んだ真剣な声。絶対に逃さないという力強い意思が、そこに秘められているようだった。
ベッドサイドに足をおろして座る私の前までくると、その腕の中に私を閉じこめる。
「あ、あの、私、汗くさいですから」
「そんなのはどうだっていい」
どうだってよくないから言っているのに、ちょっとは乙女心を理解してほしい。
抗えないのは、少なからず抱きしめられてうれしいと思っているから。
「今、おまえに触れたくて仕方がないんだ」
「新、さん」
余裕がなさそうな新さんの姿に、私は戸惑いながらも彼の腰に両腕を回した。そして硬直したように固まる彼の身体。
そういえば、私からなにかをするのは初めてだ。
「桃子」
「はい」
「好きだ」
え……?
「そうじゃなきゃプロポーズしたりしない。絶対に離さないし、今後おまえをあいつにやったりもしないからそれだけは覚えておけ」
フリーズしている私の頭に、今度は独占欲丸出しのセリフ。いったいなにが起きているというの。
「今夜は着替えやおまえの荷物を取りに一旦マンションへ帰る。いるものがあればメッセージを入れてくれ」
未だポカンとしたままの私を残して、新さんは何事もなかったかのように部屋をあとにした。