夫婦蜜夜〜エリート外科医の溺愛は揺るがない〜

まさかそこで一目惚れされたなんて、もっと驚いた。

『これからは忘れられないくらい、身も心も俺でいっぱいになるように刻みこんでやるから』

そのあとそう言われて、彼は顔を赤くした私の頬に優しくキスをした。そのあとは寝室で優しく抱かれ……。

ああ、思い出すと顔が火照る。あのときの新さんは言葉で言い表わせないほどの色気を放って、ものすごく男らしかった。

「なにを考えているんだ?」

その声にギクリとして現実に戻る。

すべてお見通しだというような見透かした視線。口角の上がった口元は、あの日と同じように妖艶な雰囲気を醸しだしている。

「これからもたっぷり愛してやるから」

「い、意地悪!」

「そんな男は嫌いか?」

うっ、私がなにも言えなくなるのを知っていてわざとだ。

「嫌じゃ、ないです。そんなところも好きです」

「奇遇だな。俺もどんな桃子でも愛せる自信がある」

ああ、この人には敵わない。

きっと、これからもずっと、永遠に。

私はずっと惑わされ続けるのだろう。

でもそんな人生も悪くない。

そんな日々が続きますようにと考えている私がいるから。

「これからもずっと俺に独占されていろ」

耳元で囁かれて、私は小さく頷いた。



< 119 / 120 >

この作品をシェア

pagetop