夫婦蜜夜〜エリート外科医の溺愛は揺るがない〜
新婚初夜

披露宴が終わり、一日中胃を圧迫していた召し物から解放された。それだけで肩の荷がおり、大仕事を終えたあとのような気分になる。親族のみとはいえ、やっぱり疲れるものだよね。

今日はこのまま披露宴会場のホテルのスイートルームに宿泊する予定で、どうやら部屋を押さえてあるらしい。

「うわぁ、すごい」

「ゆっくり寛ぐといい」

「はい」

とりあえずひと通り部屋の中を歩き回り、どこになにがあるのか確認した。スイートルームなんて初めてなのでワクワクする。

部屋の中の家具や置き物はどれも高級感があり、ソファに腰掛けてみるととてもふわふわで座り心地がよかった。

張り詰めていた緊張が一気にとけ、目まぐるしくすぎたこの二カ月の記憶がダイジェストのように頭の中に浮かぶ。

父の店で結婚の報告をすると、父は目に涙を浮かべなから海堂先生の手を強く握って「娘をよろしくお願いします」と頭を下げた。

釣り合わないだろうと思っていたのは私だけのようで、海堂院長も私たちの結婚を心から喜んだ。「式はいつ頃にしましょう?」と嬉々としながら提案されたほどだ。

あまりにもあっさり認められて、トントン拍子に今日まできた。忙しい海堂先生とはほとんど時間が合わず、この二カ月で数えるほどしか会っていないし、会ったといっても結婚式の打ち合わせでだけだ。

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