夫婦蜜夜〜エリート外科医の溺愛は揺るがない〜
ホテルを出たのがちょうど昼前。タクシーで海堂先生が贔屓にしているというこだわりの食器が売られている店へ向かった。
見るからに高級そうな店。アンティーク調のモダンな雰囲気の店内には、値札のない食器がずらりと並べられていた。
和食器からティータイムにピッタリなカップにソーサーまで、ジャンルはさまざま。高級ブランドのものばかりを取り揃えた店のようだ。
早く見て回りたくてウズウズする。私はなんでも見た目からこだわるタイプなので、料理に合うお皿選びから始めたい。
特に和食器は洋食にも和食にも合うので、多く揃えたいところだ。
「あ、このお茶碗かわいい」
外は黒塗りで中に花模様が描かれた和テイストの茶碗。
「そちらは新婚さんに大人気の夫婦茶碗でございます」
し、新婚……私たちもそんなふうに見えているのか。妙に照れくさくてドギマギした。
「夫婦茶碗か」
隣の海堂先生も興味深そうに見つめる。
「箸と湯のみもございます」
わ、かわいい。でもペアのものって、海堂先生の柄じゃないかも。なにより嫌がりそう。
「派手さのないシックな柄が気に入った。よし、これにするぞ」
「え、いいんですか」
ここへ連れてきたのは海堂先生なので、少なからずこだわりがあるのではないかと思った。それに、ペアだよ?
「和食器を好む桃子と俺の趣味は、どうやら一緒みたいだからな」
いいんだ……?
また新たな一面を発見した。でも、こういう意見の一致はとても大事だと思う。そのあとも次々と食器を選んだが、どれもお互いの意見がピッタリ合ってスムーズに事が運んだ。