夫婦蜜夜〜エリート外科医の溺愛は揺るがない〜
「私誤解していました。海堂先生って思っていた以上に優しいんですね」
「そう言われるとは、心外だな」
「すみません、でも、昨日から意外な一面を見てばかりで驚きの連続です」
「いったい俺をどれだけ冷たい人間だと思っていたんだ」
不機嫌そうにムッとしながら軽く睨まれた。
「冷たいというか、なにを考えているかわからないです」
「伝えているつもりだがな」
「え?」
伝えているつもり……?
どこが?
思わず声が出そうになって慌てて口を押さえた。
「おい、心の声が聞こえてるぞ」
「それは失礼しました」
「あのさ」
海堂先生はカップをソーサーの上に置くと、身体ごと私に向き直った。
「な、なんでしょうか?」
「その言葉遣いをどうにかしろ。あと海堂先生呼びも」
「言葉遣い……なにか失礼でしたか?」
海堂先生でなければ、他にどう呼べと?
意図がわからず思わず首をかしげるとハァと盛大なため息を吐かれた。
「いつまでも他人行儀っぽく敬語を使うなと言ってるんだ。あと下の名前で呼べ」
「えっ!」
「いちいち驚くな」
「あ、すみません」
本物の夫婦っぽい会話にビックリした。それに他人行儀なのが気に入らないの?
ますます海堂先生……ううん、新さんがよくわからない。