夫婦蜜夜〜エリート外科医の溺愛は揺るがない〜
朝ご飯は下のコンビニでなにか買って食べよう。
そう思いながらリビングに顔を出すと寝ぼけ眼の新さんがキッチンに立っていた。目がトロンとして、まだ眠そう。無防備な姿が、子どもみたいだった。
「おはようございます」
「おはよう。早いな」
「ええ、朝は強いんで」
準備万端な私を見て新さんが目を丸くする。
「俺、朝弱いからいつもはもっとギリギリまで寝てるんだけど」
「今日はなぜ早いんですか」
「桃子に会いたかったから」
「へっ!?」
無表情でそう言われ素っ頓狂な声が出た。
「ギリギリまで寝てたら、おまえに会えないだろ」
なんですか、その不意打ちなセリフは。本物の新婚みたいなんですけど。ほんのりと顔に熱が帯びていくのを感じる。
唇に力を入れて、気を引き締めた。そうでもしないと、赤くなっているのが伝わりそうだったから。
「わ、私、お腹が減ったのでコンビニでなにか買ってきます。ほしい物があったらメッセージしてください」
「なぜだ」
なぜ、とは?
「顔を見て話せばいいだろ。メッセージなんて寂しいことを言うな」
それはただ逃げたかったからとっさに口にしただけだ。それなのに、そう言われるとなにも言い返せない。