夫婦蜜夜〜エリート外科医の溺愛は揺るがない〜

それなのに私は自分の立場もわきまえないで、なにやすやすとプロポーズを受け入れたんだろう。釣り合うはずがないのに。なんて今さらそう思っても遅い。

もっとよく考えるべきだったのに。

だけど今は仕事仕事。余計な邪念は振り払って、集中しなければ。救急外来の事務は患者がバンバン入ってきて、短い時間の中でカルテ作りから処置内容の確認、請求書の作成をしなければならない。

主にデスクワークがメイン。入れ替わり立ち替わりやってくる患者の情報を入力してカルテを作る。

「ごめん、雪名さん。海堂先生に確認お願いできる? 私、今手が離せなくて」

「わかりました」

内心ドキッとしたけれど、仕事なのだからきっちりやらなくては。えーっと確認というのは、パソコン画面の中の患者のカルテに目を通す。

あー、これだな。薬品を使用しているはずなのにそれの入力がない。新さんのいつものパターンからすると、ここで薬品を使っているはずなのにも関わらず、だ。

救命はいわばルーティンなので蘇生のための処置は決まっている。使う薬剤も決まっているけれど、種類がたくさんあるし、ドクターによって使用する薬品の好みがちがうので、きっちり薬品名を入力してもらわなければ。

< 48 / 120 >

この作品をシェア

pagetop