夫婦蜜夜〜エリート外科医の溺愛は揺るがない〜
そのあと事務に戻ってパソコン画面に集中しようとしてみても、木下先生のセリフがやけに引っかかって、なにかと邪魔をしてくる。
新さんは木下先生には私との話をしたと捉えていいんだよね。電話がかかってきた時点で親密な関係だとわかったけど、プライベートな話までしているなんて。
それに彼女は医学部時代の新さんを知ってるんだよね。長い時間一緒にいて、科はちがうといえど今も同じ病院で働いている。そこに特別な感情はないのかな。
感情はないとしてもふたりの間には見えない強い絆がある。さっきの一瞬でそれがわかった。
「はぁ」
「なにをため息吐いてるのよ」
ランチバッグを抱えた清山さんが首をかしげた。もうそんな時間なんだ。
「先に行っているわね」
「あ、はい。私も少ししたら行きます」
いつもはお弁当だけれど、今日は職員用のカフェレストランで食べよう。夜には調理器具が届くはずだから、仕事のあとに買い物して帰って夜ご飯と明日のお弁当の準備をしなきゃ。
あ、でも新さんは今日は当直だと言っていたからご飯はいらないはず。ひとりだとあまり作る気がしないなぁ。
荷物も多いだろうし、すべて使えるようにするのに時間がかかりそうだ。荷解きもして部屋を整えなくちゃ。
そう考えたらやることはたくさんある。とりあえず食材だけ買って帰ろう。
そう思い仕事が一段落したところで六階のカフェレストランへ。