夫婦蜜夜〜エリート外科医の溺愛は揺るがない〜
次第にドキドキと鼓動が速くなって、これから訪れるであろう行為に思わず身体が固まった。そんな私の口元で小さく笑う声がする。
唇が触れそうで触れない微妙な距離に、尋常じゃないほどドキドキさせられた。わざとそこで焦らして熱っぽい瞳で見つめてくるところは、慣れているんだなと思わざるを得ない。
きっと、こんなに余裕がないのは私だけ。
「俺だけ見ていろ」
そんな甘いセリフのあとに彼は目を閉じさらに近づいてきた。
「んっ」
どんなふうに受ければいいのか考えているうちに唇が触れていた。まだ慣れない新さんとのキスに、心臓が早鐘を打つ。
「ん、あ」
これまでは軽く触れるだけだったのに、角度を変えて何度も繰り返されるキスに甘い吐息が漏れる。
全身がものすごく熱い。新さんは顔色ひとつ変えず、余裕があるようだ。女性慣れしているよね。私とできるくらいなのだから、彼にとってはキスなんてなんでもない行為なのだろう。
他の女性というワードにふと浮かんだ顔は木下先生だった。ふたりの姿を想像すると、とてつもなく胸が締めつけられる。
私だけを見ていてほしいだなんて、愛のない結婚なのにどうかしている。
「なにを考えているんだ」
「え……」