夫婦蜜夜〜エリート外科医の溺愛は揺るがない〜
って、私、ものすごく嫌な女になってる。そんな自分が情けなくてたまらない。どうしたって木下先生といると引け目を感じてしまう。
「あの、それでお話って」
「注文を済ませてからでもいいかしら。お昼を食べ損ねちゃってお腹が空いてるの」
食べられる気分ではないけれど、お腹が空いてるのは私も同じ。メニューから木下が先生がおすすめだというパスタセットを注文した。
そして出されたお冷やを口にしたあと、意を決したように木下先生が口を開く。
「前にも一度聞いたけど、どうして海堂くんと結婚したの?」
まさか、バレている?
形だけの結婚だと。
それもそうだ。海堂先生と仲がいい木下先生には、私たちは突然結婚したように見えたはずで、付き合っている素振りもなく、いきなり結婚しましただなんて疑われても仕方ない。
ここまでして真相を知りたいだなんて、やっぱり木下先生は新さんを……。
「海堂くん、医学部時代は恋愛なんてまったく興味がなかったのよ。モテるのに恋人を作らなくて、社会人になってからはますます医学の道にのめり込んで。今じゃ立派な外科医だもの、すごいわよね」
過去を懐かしむように小さく笑う木下先生。
新さんが恋愛に興味がなかったのも驚きだけど、今は木下先生が気になる。そこに隠された気持ちがあるような気がするから。