夫婦蜜夜〜エリート外科医の溺愛は揺るがない〜
「私の彼も同じ医学部の同期なんだけど、海堂くん同様今は経験を積むのに精いっぱいみたいで……なかなかプロポーズしてくれないのよね」
え?
「だから、どうやって海堂くんをその気にさせたのか一度雪名さんに話を聞いてみたかったの」
舌を出してかわいく微笑む木下先生に思わずポカンとする。
木下先生には他に恋人がいるの?
「ええっ!」
「なにをそんなに驚いているのよ」
クスクス笑われ、私は慌てて自分の口を手で押さえた。
「すみません」
だってまさか、こんな展開だなんて誰が予想できる?
肩に入っていた力が一気に抜けて、私はその場にうなだれた。それと同時にホッとさせられる。
「私、勘違いしてました。もしかしたら、木下先生は新さんを好きなんじゃないかって」
私の言葉に今度は木下先生がポカンとした。
「私が海堂くんを? あはは、それはないわよ」
ありえないと身振り手振りで全否定されてしまい、とんだ勘違いだったと痛感した。
よかった、本当によかった。ホッとしたら気がゆるんで、モヤモヤが吹き飛んだ。単純だな、私。
「結婚の報告も、海堂くんの口から直接聞いたわけじゃないの。彼と院長のやり取りがたまたま聞こえて、それで知ったってわけ」