夫婦蜜夜〜エリート外科医の溺愛は揺るがない〜
「どうしてって、気に入ったからだ」
しれっとそう返されて愕然とする。
「いえ、そうではなくて」
その根底にある気持ちを聞きたいんですけど。だけど伝わらなかったのか、あからさまに首をかしげられた。自分からは聞けるはずもない。今でも顔から火が出そうなほどなのだ。
「木下先生が言っていました。新さんは医学部時代は女性にまったく興味がなくて、恋人を作らなかったと。それなのにどうして」
モゴモゴと口ごもる私は新さんの目を見ていられなくなり、とっさにそらした。
「木下がどうしてそんな」
「昨日一緒に食事をしたんです」
「は? いつ?」
あからさまに不機嫌な表情を浮かべる新さん。私は目を瞬かせながら「昨日の夜です」と返事をした。医学部時代の仲がいい友人と私が食事するのが気に入らなかったのかな。
それとも過去を勝手に詮索されたくなかった?
私から誘ったわけではないけれど、やはり面白くないのだろうか。
「聞いてない。どうして報告しないんだ。出かけるときは、たとえ俺が家にいなくてもひと声かけるべきだろ」
「え」
そこ、ですか。私が木下先生と食事したからではなく、報告しなかったのを怒っているのね。
でも、どうして?