夫婦蜜夜〜エリート外科医の溺愛は揺るがない〜
「俺はそこに関しては譲らないからな」
「つまり、報告をしろと……?」
「当たり前だ、夫婦なんだから」
「すみません」
あれ?
どうして私が謝っているんだろう。
「まったく、あいつもロクなことを言わないな。なにを暴露しているんだか」
この様子だとやはり木下先生が言ったのは真実のようだ。
「どうせあいつがペラペラ喋ったんだろうが昔からそういう奴だ。気にするな」
「いえ、気になります。だって私はなにも知らないから。知りたいって思うのはいけないですか? 知りたいんです私は、新さんを」
知らないのは悲しすぎるから、少しでもあなたに近づきたい。
恐る恐る顔を上げると戸惑うように瞳を揺らす新さんがいた。
「あの、新さん」
なにか言ってください。
「そんな目で見るな」
「?」
わけがわからなくて首をかしげる。すると気まずいのか、パッと目をそらされた。動揺、している?いったいどうして?
「勘違いするだろ」
「なにを、ですか」
「はぁ」
「えと、あの」
なにが言いたいのかまったくもって理解できない。頭にハテナマークが浮かび、眉間にシワが寄る。
「明日休みだろ。出かけるぞ」
「どこへ?」
「デートだ、デート」
わかったらさっさと食べてシャワーを浴びろとピシャリと言い放たれてしまった。なんだか胃が痛い。ストレスだろうか。彼がなにを考えているかさっぱりだ。
どうしていきなりデートだなんて。私の質問になにも答えてくれないのは、話す必要はないという意味?
夕食を終えてシャワーを浴びた。気になる節はあるけれど、明日のデートをうれしいと感じている私もいて、なにを着ようかなとか、どこにいくのかなとか、いろいろ考えていたらワクワクする。