夫婦蜜夜〜エリート外科医の溺愛は揺るがない〜
六月に入りずいぶん暖かく、そしてじめじめし始めた。だが日曜日の今日はカラッと晴れて、澄み切った空がどこまでも広がっている。
「どこにいくんですか?」
マンションの地下駐車場に停めてあった新さんのいかにもな黒塗りの高級車に乗り、都内の国道を走ること三十分。
座り心地のいいレザーシートは肌触りもよくて洗練されている。モーター音や走行音もほぼなく、乗り心地は最高。
「ついたらわかる」
「さっきからそればっかりですね」
新さんは前髪だけをクシャッとさせて、今日はいつもよりもおしゃれだ。ピシッとしたグレーのジャケットに、インナーにはワイシャツ。スラッとした黒いジーンズに革靴を合わせている。
腕についている時計は私でもわかるようなハイブランドのもの。まさに大人の色気が漂う崇高な男性。
私はふんわりした紺色生地にピンクの花柄が入ったロングスカートと、白いカーディガン、いつもは下ろし髪スタイルだけど、今日は毛先をゆるく巻いてポニーテールにし、サイドに横髪をたらしてみた。
肩がけの小さなキルティングバッグには最小限のものだけを詰めて、足元は少しでも背が高く見えるようにパンプスを履いた。
いつもよりも気合いを入れておしゃれをしてみたけれど、大人っぽい新さんと並ぶとまだまだ子どもみたいで色気が足りない。
もっと大人っぽい女だったら、新さんと釣り合ったのに。