夫婦蜜夜〜エリート外科医の溺愛は揺るがない〜

「え?」

「俺を煽ってどうしたいんだ」

なぜかムッと唇を尖らせている彼の全身から、究極の色気と男を感じる。

目をそらそうとしてみても、吸い寄せられるようにピクリとも動かない。

「そんな顔で見つめられたら、今すぐめちゃくちゃにしたくなる」

「か、からかわないで、ください」

「からかってない、本気だ」

新さんは身を乗り出したまま、上から私を見下ろすような格好。この艶っぽい唇とキスしただなんて、未だに信じられない。

「こんなに近くにいるのに、桃子に触れられないのが耐えられない」

どう言えばいいかわからずに黙りこむと、後頭部に回されていた手のひらが優しくそっと頬に触れた。ビクンと無意識に身体が反応し固まる。

「好きだ」

え……。

かろうじて聞こえるほどの声でたしかにそう言われた。

今、なんて……?

「そろそろいくぞ」

新さんは運転席に戻ってシートベルトを締め直した。そして無言で車は発進。その間、私はスカートの上で握った拳を見つめた。

さっきのは夢か幻だったのだろうか。

いや、そんなはずはない。

たしかに『好きだ』って。

だけどそれならそうと少しくらい気まずそうにする素振りを見せてもいいのでは?

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