夫婦蜜夜〜エリート外科医の溺愛は揺るがない〜
その優しさに私はいつの間にか心を奪われていた。
「新さん」
「ん?」
私のことをどう思っていますか?
そう聞きたいのに言葉が出てこない。
「いえ、やっぱりなんでもありません」
言えるわけがない。だって傷つきたくないもの。言えないよ。とっさにうつむき、気まずさから逃げた。
「桃子、こっちを見ろ」
優しく諭すような声に心がほだされそうになる。抗えない魔力のようなものがあって、観念した私はとうとう顔を上げた。
「このあときちんと話すから。桃子が知りたがってた内容を全部」
覚悟を決めた真剣な眼差しには、私が知りたい答えがすべて含まれているような気がした。
「強引にここまで進めて悪かったな」
それはいったいなにに対しての謝罪?
きちんと言ってくれなきゃわからないけれど、このあとすべて解決するのだろう。
珍しく新さんは食事中とても静かだった。天ぷらは衣がサクサクでとても美味しく、素材にもこだわっているのか特に野菜が甘くて絶品だった。
この抹茶塩もそこらへんで食べるものとは全然ちがう。
「美味しい」
一品一品熱々の状態で出てくるから、常に出来たてが食べられるのも最高だ。