夫婦蜜夜〜エリート外科医の溺愛は揺るがない〜
何個目かの天ぷらを食べ終えたとき、心臓部分が急激な痛みに襲われた。とっさに胸を押さえて、畳に手をつく。
「うっ」
座っていられなくなり、その場にお腹を抱えてうずくまった。な、なにこれ。なんでこんなに痛いの。キリキリとなにかで穴を開けられるような耐えられない痛みだ。
「桃子、どうしたんだ」
しまいには冷や汗が浮かんで目の前がもうろうとし始めた。うっすらとしか目も開かず、新さんの顔がよく見えない。
「い、たい……胸が」
「胸? 胸が痛いのか?」
「肩、も……」
目を開けているのがままならず、あまりの激痛に意識が飛びそう。眉間にシワが寄り、全身がじっとりと汗ばんできた。
痛い……。なんだろう、これは。
どうしてだろう。
「桃子、おい! しっかりしろ!」
新さんの焦ったような声を最後に、私の意識は完全に途絶えた。