夫婦蜜夜〜エリート外科医の溺愛は揺るがない〜
桃子って、なぜ下の名前?
つい頭がそっちにシフトして肝心の話題を聞きのがすところだった。
確かに今、助かったって言ったよね?
「すでに目覚めて意識もはっきりしているし、なんの後遺症もない」
「本当ですか!?」
助かったと知って心が弾んだ。深くとはいかないが一度関わった人だ、何事もなくてよかった。
「ああ」
真冬だというのに半袖の青いスクラブ姿の海堂先生は口元をゆるめてフッと笑った。妙に色気のある艶っぽい唇に思わず目が向く。
朝は焦っていたし夢中だったからそこまで余裕がなかったけれど、改めて見ると顔のパーツひとつひとつがどれも美しくて凄まじい色気を放っている。
筋肉があって引き締まった体躯に、救命で鍛えられたたくましい腕。姿勢もきれいでスタイルもよく、まさに気品あふれる極上の男性。
「おい」
見惚れているとグッと距離を詰められた。目と鼻の先に整った顔があって、とっさに大きく目を見開く。
「な、なんですか?」
平然としてみせるが顔に熱がこもっていくのがわかった。耳の縁や顎先までもが敏感になり、目の前の海堂先生を意識している。
ああ、私のバカ。どうしてすぐに顔に出るのよ。