夫婦蜜夜〜エリート外科医の溺愛は揺るがない〜
どのようにして距離を詰めればいいのかがわからず、気づけば五年の月日が流れていた。彼女はひと言で表すと、とても真面目。向上心もあり、仕事も一生懸命で周りにも気を配れるいわゆる気遣いができる人。
そのため院内でも評判がよく、事実彼女を狙ってる職員は多かった。
桃子と出会って六度目の春を迎えようとしていた一月の寒い日。
「雪名さん、昨日見たわよ〜!」
たまたま医事課の前を通ったとき、ベテランクラークの清山さんと桃子の姿が見えてついつい足を止める。
「見たって、なにをですか?」
「デパートでイケメンと買い物してたでしょ? 恋人?」
清山さんの言葉に胸にかなりの衝撃を受けた。恋人。
「やだ、そんなんじゃないですよ。父の誕生日プレゼントを見繕ってもらってただけです」
「あらあら、照れなくてもいいのよ。仲がよさそうで、お似合いだったわ」
「からかわないでください」
「私の経験上、そんなふたりが結婚するのよ」
「進とは本当にそんなんじゃないので」
「うふ、進くんっていうのね。おめでたい報告待ってるわよ」
「もう!」
プクッと頬を膨らませる桃子の顔が、心なしか赤いような気がする。
その男が好きなのか?