夫婦蜜夜〜エリート外科医の溺愛は揺るがない〜
それからまたひと眠りして目を覚ました私は、ようやく重大な事実に気がつく。仕事を休むという連絡をしていなかったのだ。
「どうしよう……!」
とりあえず、電話しなきゃ。
そう思い、起き上がってバッグを探す。スマホを確認すると清山さんからメッセージが届いていた。
『聞いたわよ、お大事にね!仕事は心配しないで、ゆっくり休んでください。その代わり、治ったら洗いざらい全部話してもらうからね!』
なぜだか最後の文章だけやけに力が入っているような。いや、でも、誰が連絡をしてくれたのだろう。まさか、新さんが?
だとすると、清山さんの最後の文面にも頷ける。父と進からも私の容態を心配するメッセージが届いていた。
昼すぎに父がお見舞いにやってきて、夜には進が姿を見せた。
「桃子、大丈夫?」
「うん、ありがとう」
進はよっぽど慌てていたのか髪の毛が乱れていた。いつもはピシッと締められているスーツのネクタイも曲がっている。
「まだ痛むけど、安静にしてたらよくなったよ。一週間くらい入院しなきゃいけないんだけどね」
「あんまり無理するなよ。この前は突き放すような言い方したけど、なにかあったら俺を頼ってくれていいから」