どうも、弟です。

雪くんは、私の持っていた答案用紙を奪うように取って、また笑った。


「わざと間違えたに決まってんじゃん。約束通り、満点じゃなかったから一花の秘密、秋にバラすね」

「………」


得意げな表情で、私にそう言う雪くん。

でも、不思議と驚きや苛立ちなんてものは湧いてこなかった。


「そんなの嘘だよ」

「……は?」

「雪くん、この二週間すごく頑張ってたもん…それに、これは私の問題にはあまり出てこなかった項目だもん」


雪くんは理科と社会が苦手だったから

その二科目を重点的にやってきたつもりだったけど。

……詰めが甘かった。


「だからこれは私のせいなの。雪くんは十分頑張ってくれたよ」

「……」

「だから、ありがとう」


500点満点じゃなくてもいい。

497点だって十分すごい。

この点数を見て、私は素直に嬉しかったし、感動したんだもん。

雪くんの頑張ってきたこと、出し切ることができてよかったって思えたもん。


怒ったり、悲しんだり…できるわけないよ。



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