どうも、弟です。
「じゃあ、キスして」
「キスね!わかった!……え?」
勢いに任せてわかったって言っちゃったような気がするけど
きっと気のせいだよね?
「え、キス…??」
「一花、『わかった』って言ったよ?」
気のせいじゃなかった!!
キスなんて無理だよ…!!?
「そっ、そもそもっ、私たちまだ付き合ってもいないのに…って『まだ』ってそう言う意味じゃなくて、あ、別に雪くんのことが嫌いとかそういうわけでもないんだけどキスはまだ早いっていうか、あ、『まだ』っていうのはそういう意味じゃなくて……っ!!」
「今日は、よくしゃべるね」
「っ」
雪くんの手が、あの日みたいに私の頬に当てられた。
雪くんの両肩に置いた手に少し力を入れたら、すぐにでも彼から逃れられるのに。
そう思えるくらい、秋くんに比べて彼の体は華奢だ。
それなのに、近づいてくる雪くんの瞳から目が離せない。
力も入らない。
「ご褒美、もらうね」
「……っ」
ぎゅっと、目を閉じた。