どうも、弟です。

「勝手に入ってくんなよ、リュウ」


……リュウ??

雪くんは、仁王立ちしている彼に対してそう呼んだ。

え、名前聞いてもわからない。

いきなり入ってくるし、社会11点で自慢してくるし…本当にこの子、誰なの!?


「雪くん、この人は……?」

「え? 一花、会うの初めてじゃないだろ?」

「……ハイ?」


何言ってるの雪くん。

どうして私がわからないのに、会ったことあるって雪くんが知ってるの?


「え、私どこでこの人と会ったっけ……?」


必死に記憶をたどるけど…だめだ全く浮かんでこない…。

思い出そうとしている私を見た雪くんは、ふっと微笑んで答えを教えてくれた。


「『あの日』……俺にズタボロにされてた奴」

「!?」


『あの日』……

雪くんが路地裏でケンカをしていた日!!

そうだ、その時にこの人と会ったんだ!!

確かひどい怪我をしてて、私が雪くんとこの子の間に割って入ったんだよね。

……その時はまだ、雪くんのことを秋くんだと勘違いしちゃってたんだけど。



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