どうも、弟です。

「……なあ、雪」

「ん?」


岩本くんは、おもむろに私を指差してきた。


「このキレイな人、お前の彼女か? 今回はずいぶんとまた清楚系だな、趣味変わったんか?」

「!!!?」


キレイって言った!!

今この人私のことキレイって言った!!

なんなの!? いい子すぎない!?


「いや、そんな…キレイだなんて……」


岩本くんの言葉が嬉しすぎたせいで、顔がにやけてしまって仕方がない。

これで私のことを二度もブスって言った雪くんも、これを機に見直してくれるんじゃない!?

得意げに雪くんを見ると、雪くんはなぜか引いたような表情で私を見ていた。


「ただのブスだよ、彼女なわけないじゃん」

「………!!」


さっきまで……ついさっきまで、雪くんのこと嫌いじゃないって思ってたけど……

私は、その場に立ち上がり、鞄を背負った。


「……一花?」


不思議そうに私の名前を呼んでくる雪くんを無視して、部屋を出る。



< 115 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop