どうも、弟です。

「何!? 急にどうしたわけ!?」


慌てて、追いかけてきた雪くんが後ろから私の腕をつかんだ。

なによ、今更!

もういいよ、実力テストも終わったし、次のテストまで時間あるし、やりたくない勉強も少しお休みしたらいいじゃない。

……もういいよ。


「……ただのブスよ、どうせ私はただのブスな女の子だよ、雪くんのバカ!」

「っ、一花!?」


勢いに任せて、雪くんの腕を振り払う。

そのまま階段を駆け下りると、何事かというようにリビングから秋くんが顔を出した。


「一花ちゃん、何かあった…!?」

「……っ」


私を止めようと伸ばされた手も、せっかくかけてくれた声も、全部無視して玄関を飛び出した。

……何でこんなに苦しいんだろう。

なんでこんなに傷ついてるんだろう。


高校デビューしてから、初めて雪くんに会って。

その時に言われたブスって言葉よりも、深く私の胸に突き刺さった。


「う~……!!」


なんでこんなに苦しくて、涙が出てくるんだろう。



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