どうも、弟です。
「一花ちゃん!!!」
「っ!?」
後ろから、雪くんのよりも大きな手に、腕を捕まれた。
「……秋くん……」
振り向くと、息を切らした秋くんがそこにいた。
走ってきてくれたんだ……。
「一花ちゃん、ちょっと、話、あるんだけど…!!」
「……?」
秋くんが、私に?
なんだろう。
ああ、雪くんの家庭教師、やめさせられちゃうのかもしれない。
当然だよね、家を二回も飛び出しちゃって来てるんだから。
こんなの、先生失格だよね。
……って、なんでこんなに残念がってるんだろう、私……
「…ここじゃなんだし、近くに公園があるから、そこのベンチで話さない?」
「え……」
「というか、俺の話…聞いて欲しいんだけど……」
「……」
私は、溢れそうになる涙を袖で拭ってから、こくんとうなずいた。