どうも、弟です。

***

実力テストが終わったあの日、一花が俺の部屋を飛び出して行った後。


「雪、なんであんなキレイな姉ちゃんにブスって言ったんだよ、彼女じゃねーのかよ」

「……や、わかんない…」


自分でもわからない。

リュウに、彼女かと聞かれて、今まで感じたことがないくらい恥ずかしくなった。

一花が、秋のことが好きなのを知っていたから、リュウの言葉を俺より先に否定されるのも怖かった。


やばい。

今、一花泣いてた。


俺が、泣かせた。


なんであんなこと言ったんだろう。

なんで恥ずかしいって思ったんだろう。

なんで、否定されるのが怖かったんだろう。


この二週間、めちゃくちゃ勉強した。

人生初のペンだこができたことさえ、楽しく感じた。


頑張れば頑張るほど、一花は褒めてくれるし、笑ってくれるし。

満点ゲームとか、今考えると訳のわからん勝負も関係ないくらい、本気で満点目指して勉強してた。


満点取って、一花に頑張ったねって褒めてもらいたかった…のかもしれない。


「……っ、一花…」


こんなに余裕がなくなるなんて思っていなかった。

一人の女のことで、どうしてこんなに焦っているんだろう。


考えは何もまとまっていないけど、とにかく一花を追いかけないと。

リュウを置いて、俺は一花を追いかけた。



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