どうも、弟です。
「じゃあね、一花、秋くん!」
「おう、またなー」
「また明日ね、すみれ」
放課後、先に教室を出るすみれに、手を振る私と秋くん。
秋くんとは帰り道が反対方向なので、放課後少しだけ残っておしゃべりをしている。
「秋くん?」
おかしいな。
いつも私の隣の席に座ってくるはずの秋くんが、今日はいつまでも立ったままだ。
どうしたんだろう?
「ね、一花ちゃん、そろそろ雪の期末テストが始まるんだけど……」
「……」
久しぶりに、秋くんの口から雪くんの名前が出て、どきんっと胸が大きな音を立てた。
雪くんの、期末テストの時期。
この話題がまた出されるなんて思っていなかった。
だって私は、もう雪くんの家庭教師じゃなくなってしまったと思ってたから。
「そ、そっか……」
私はなるべく平静を装って笑顔を浮かべる。
気にしない。
……気にしちゃダメだ。