どうも、弟です。
「一花から誘われたら、喜ぶぜアイツ」
「ど、どうして……」
「どうしてって?」
「だって雪くん、わ、私の事……」
そこまで言って、また顔が熱くなる。
自分で何言ってるんだろう。
恥ずかしくて、思わず自分の顔を隠すように持っていたチケットを口元に持ってきた。
「俺も反省したからね。さすがに今回は余裕なさ過ぎて自分でも引いたから、もっと余裕のある心の広い大人な男にならねーと」
「……?」
「あ、勘違いすんなよ?」
雪くんの腕が伸びてきて、そっと私を引き寄せた。
「一花を諦めるわけじゃないから、安心しろって」
口角を上げて、意地悪く笑う雪くん。
やっと笑った顔が見られたのにドキドキしてそれどころじゃない。
「だからそんな悲しい顔すんなよ」
「っ!? し、してない!!」
見慣れた、意地悪い笑顔のままで、雪くんは最後にこう付け足した。
「一花の方から、『俺がほしい』って言っちゃうくらい惚れさすから……覚悟しとけ」