どうも、弟です。

その笑顔を見て、ちょっとだけ胸が痛んだのはどうしてだったんだろう。

雪くん、浴衣着たら似合うだろうな。

本当に雪みたいに肌が白いから、濃い色だと映えそうだよね……。


って、また私雪くんのことばっかり考えてる!!!


「一花ちゃん?」


秋くんに名前を呼ばれて、はっとした。

いけないいけない。

私は秋くんの彼女なんだから。

ちゃんと…彼女しなくちゃだめだよ……私…


「手、繋ごう?」

「え…」


秋くんは私にそっと手を差し伸べてきた。


「普段と違う履き物だと歩きづらいだろうし、人も多くてはぐれたら大変だから、さ」

「……っ、う、うん…!!」


秋くんのその掌の上に、自分の手をそっと重ねた。

それを見て、優しく微笑んだ秋くんを見て、私も笑う。


「じゃ、行こうか」

「うん…!」



< 153 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop